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Vol.11 「自分のため」に活かす資格

■暮らしの中でどう活かすか、という着眼点

 ちょっと原点に立ち返って、資格の選び方について考えてみましょうか。

 「資格に興味はあるけれど、どの資格を取ったらいいのかわからない」。そう思っている人は「自分のために活かすとしたら…?」という視点で資格選びをするのもアリかな、と思うのです。「うんうん、わかる。キャリアアップとか独立開業とか」って? いえいえそういう「自分のため」ではありません。今回お話する「自分のため」は、あくまで自分の利益や自己防衛。つまり、とーっても自分中心主義の資格の選び方なんです(笑)。

 ターゲットは「簿記」や「宅建」などのいわゆる有名資格。「経理じゃないから関係ないし」「別に不動産屋になるわけじゃないし」と、実務と関係ない場合はあっさり無視されがちな資格ですが、持っているとさまざまな場面であなたの暮らしを助けてくれる、素晴らしい側面を持っているんですよ。

■宅建 --- 一生の買い物“家”で後悔しない!

 例えば宅建(宅地建物取引主任者)。バブルの頃に空前のブームになり、年間30万人もの人が受験したこともありました(現在は17万人ぐらい)。実質的には不動産や建築関係者以外、実務面で役立つ場面は少ないという認識が強い資格です。それでもいまだ多数の受験者数を誇っているのは、「いつか役立つかもしれないから、とりあえず取っとけ」的な受験者が多いせいでしょうか。でも、いいです。とりあえず取っておいて(笑)。仕事上はともかく、生活面では必ず役立つ場面が訪れますから。

 例えば、賃貸の部屋を引き払うときに敷金がほとんど戻らず、抗議は試みたものの、のらりくらりと不動産屋にかわされて泣き寝入りをした人はいませんか? せっかく買ったマンションが欠陥住宅だったにも関わらず、どこに訴えてもなしのつぶてで悔しい思いをしている人はいませんか? ……今すぐ宅建を取りましょう。

 不動産会社には「実は私、宅建持っているんです」で効果十分です。恐らく100%態度が変わり、きちんと対応をしてくれること間違いなし。資格保持者に法的に訴えられては、営業ができなくなる可能性があるからです。さらに宅建を取ると、不動産関連のニュースにも自然に敏感になりますから、不動産の証券化、マンション減税などの有益な情報も蓄積できるでしょう。これから家を買おうと思っている人は、宅建を持っているだけで買い物の質がかなり変わってくる可能性アリ。一生の買い物ですから、急がば回れ方式で、足元を固めてから臨む方が賢いのかもしれませんよ。

■行政書士 --- トラブルの被害を最小限に食い止める

 次に「代書屋さん」と呼ばれる行政書士。お役所に提出する書類を、ただ地道に作っている仕事ではありません。1万種以上の書類が作れるこの資格は、憲法、民法、商法などあらゆる法律に精通できる資格でもあるのです。

 民法方面で最近行政書士への依頼件数が増えているのは、紛争処理手続き。裁判まで持ち込まないまでも、争いごとを解決するための法的書類がほしいという人が、彼らの元へやって来ます。その中で圧倒的に多い案件といえば離婚問題。離婚協議書の作成、ドメスティックバイオレンスへや子どもの養育費不払いの対処など、増え続ける離婚に伴って発生するトラブルは、行政書士によって解決されるケースが多いとか。とくに離婚で経済的不利に立たされることが多い女性にとって、これらの手続きを一通り知っていることはかなりの安心材料になるはず。もちろん、離婚するつもりで結婚する人はいませんが、転ばぬ先の杖として自分のために取得してみるのは一つの手かも。

 一方、商法方面で威力を発揮するのは、社会問題にもなっている悪徳商法。万一「だまされた!」と思っても、クーリングオフや解約手続きなどの書類が自分で作れれば、慌てず対処できるというもの。金銭的ダメージも最小限に食い止められます。また、交通事故などのトラブルに巻き込まれ加害者に誠意が見られない場合も、泣き寝入りなんて絶対ありえません。なんといっても自分で告訴手続きができるんですから。

 ほかにも、免許の書き換え、車庫証明の作成、実は外国人と結婚することにっ!突然遺産問題がっ!! など、人生で起こる大小さまざまな事件に対応可能。長い目で見ると自分のためにだけ資格を使っても、資格取得にかかった費用は充分取り戻せるような気がします。生活密着度でいえば、行政書士はナンバーワンでしょうね。

■簿記、FP --- 経済に強くなって人生に勝つ!

 経理職、金融業界関係者だけの資格、という思いこみはもう捨てましょう。

 例えば、あなたは最近株に興味を持っていませんか? ミニ株などが登場し個人投資家が急増中ですが、勝率は簿記の知識のあるなしでかなり変わってきます。なぜなら財務諸表が読めると会社の経営状態がわかり、投資しても安心な会社を見極められるから。経理、経済がきちんとわかると、投資のギャンブル性が薄れてきます。資産運用で人気の外貨預金だって、利息計算が自分でできてしまうので確実にお金が増やせます。もちろん独立開業する場合には、経営管理や原価計算など資格本来の使用方法(?)で役立てられます。

 国民年金破綻!? なんて噂も真実味を帯びている昨今、FP(ファイナンシャルプランナー)もあなたの家計を救います。「自分がどんな保険に入っているのかよくわからない」と多くの人が平気で話していますが、これは本当に年金が破綻してしまったら笑い話にはできません。簡単に破綻はしないまでも、受給金額はこれから先、減る一方です。FPを取得することで得られる保険、年金、金融商品全般の知識は、社会の超高齢化で何年続くかも知れないリタイア後の人生の助けに間違いなくなるのです。

 お金に対する不浄感が根強いせいかお金に無頓着な方が好ましいとされる日本ですが、これからの世の中、そんなことは言っていられません。ファイナンシャルプランニングや簿記の知識は、すべての人が最低限持っていて然るべきだと私は考えています(これは自分に対する戒めでもあるのですが…)。自分の暮らしに役立てるだけなら簿記3級、FP技能士3級、AFPのいずれかで充分。どれも3カ月程度の学習期間で取得できる資格ですから、みなさんも頑張ってみませんか?

 「仕事」ではなく「暮らし」の視点から選ぶ資格についてお話ししてきましたが、取得した資格を実務で活かさない手はもちろんありません。暮らしの中で自ら資格の威力を実感した経験のある人は、その身近さゆえにクライアントの立場に立った仕事ができるようになり、実務で成功する確率も高くなる…といった話も聞きます。資格選びに困ったら、今、自分自身が困っていることを解決してくれる資格を探してみる、というのもいいかもしれませんね。

まとめ

■取得する資格選びに困ったら「自分の暮らしに役立つものは?」という視点で探してみる。これまで遭遇したトラブルや資格保持者にお世話になった経験などの中にヒントあり。

■とくに法律、金融関連の資格は、どんなライフスタイルの人でも一生を通じてその知識が活かせる場面が多数。いずれも基礎レベルの級で構わないので、取得しておくと転ばぬ先の杖になってくれる可能性大。

■自分のために資格を活かした経験を持つ人は、資格の威力を身をもって実感している分、熱意を持って仕事に応用できる。説得力のある言葉で親身にクライアントに接するため、実務面での成功率も高くなる。

『緊急募集!』

当資格ブログでは、資格への質問、疑問、相談などを募集します。
「こんな仕事をしたいんだけど、それにつながる資格は?」
「こういう耳慣れない資格名を聞いたんだけど、どんな資格?」
「よく聞くあの資格の本当のところは?」
「今持っている、ほとんど日の目を見ない資格をどうにか活かしたいんだけど…」
など、なんでもOK。阿部志穂が当ブログで鋭くお答えします。
質問メールはこちらまで!
お待ちしています。


阿部志穂

学び
資格趣味大学・大学院留学


2005-12-06 11:08  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(1) 
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