Vol.9 大学・大学院は資格の殿堂!
最近、一度社会に出てから改めて大学の扉を叩く人がとても増えています。「社会人大学・大学院」というキーワードに興味を持っている潜在層も多いようで、わたしが担当している某誌では、社会人大学特集を組むたびに高い読者支持率をいただいています。
ひと昔前、社会人が大学で学ぶ最大の理由は「学歴改造」、つまり、学位を取って就職条件や社内での昇進条件を有利にしたいと考える人が大半でした。しかし、ビジネスのあり方が大きく変わってしまった昨今、社会人入試を目指す人たちの目的も、学歴改造から学ぶことそのものへシフトしてきているようです。
また、一般学生よりしっかりした目標や熱意を持って講義に臨む社会人学生の存在は、大学そのものの活性化にもつながっているそうで、多くの大学・大学院が社会人学生を歓迎。社会人特別選抜枠を設ける大学は5年前の実に1.5倍に増え、平成10年には622だった大学学部が平成15年度は982に増加しているほど。以前に比べ、社会人が大学・大学院に入ることは、それほど高いハードルではなくなってきているのです。
さて、大学・大学院で社会人が学ぶ目的は、具体的には「資格の取得」であることが多いようです(学士、修士、博士号も立派な資格のひとつですが)。みなさんが思い浮かぶのは、実際に学生時代に教育実習をした人も多いであろう各種教員免許や保育士資格、ニュースでも頻繁に取り上げられるMBAやロースクールで話題の司法試験などでしょうか(※ロースクールを卒業しただけでは司法試験の合格証はもらえません)。けれど、今や大学は「やりたい仕事を実現する場」へと変貌中。取得できる資格もそれだけではありません。医療・福祉、教育、国際・政治・経済、歴史・文化、文学、人気の環境や心理系からデザイン、建築、芸術などあらゆる学部が存在するだけに、取得できる資格も多岐にわたっています。どんな資格が取れるのかは下記にまとめたので、参考にして下さいね。
ただ、単に資格を取得するだけなら、なにも大学で何年もの時間をかけなくてもいいかもしれません。学費だって高額だし、仕事や家事・育児と勉強を両立するのだって大変。単位が取れなければ留年だってあり得るわけですから。そうと知りながら社会人が大学で学ぶ理由は、資格スクールに通う以上のメリットがあるからと考えるのが妥当でしょう。その理由を探るヒントは、わたしがこれまで取材した社会人学生の多くが口を揃えていった台詞にあると思います。「大人になって、世の中の仕組みや自分の目標がわかるようになってからする勉強は、信じられないくらい楽しい!」
この言葉は、最高学府で学ぶことがいかに知識欲を満たしてくれるかということを象徴しています。試験に合格するために知識だけではなく、興味のある分野を体系立てて徹底的にその道の専門家(教授)が教えてくれる。社会に出て生き方や働き方にさまざまな疑問を抱いた人、その資格や知識がなぜ必要なのか納得したい人…そんな人の気持ちにも大学は応えてくれるのです。また、どんな肩書き、年齢、境遇の人もみな平等に「学生」という立場で机に向かうことのできる純粋な世界にはまってしまったという人も多数。目的は違っても志を同じくする仲間と培った知識や人脈が、卒業後の進路にも大いに役立つという声も聞かれます。資格や学歴といった具体的なもの以外に得られるものが、どうやら大学・大学院にはたくさんあるようなのです。
とはいえ、実際に興味を持って大学に入学してみたくても、先に述べたようなハードルが高くて躊躇する人もいることでしょう。そこでわたしがオススメしたいのは、通信制の大学・大学院です。
自宅で好きな時間に学ぶことができ、学費は通学制大学のおおむね1/10程度で、ほとんどの大学で無試験で入学が可能。どうです、学生生活を始めるのに抱く不安が、通信制大学・大学院ならほとんどクリアできてしまいませんか? 実際、学費が数百万円単位でかかってしまう通学制大学はここ数年在籍者数が横ばいになっているのに対し、通信制は右肩あがり。現在、全国で24万人もの人が通信制大学の学生として学んでいます。この現象を受けて3年前には大学院の博士課程もスタート、大学も学べるジャンルが年々充実し、通学制の大学とほぼ遜色がありません。また、年に数回行われるスクーリングもインターネット受講で単位がもらえるなど、社会人にとってうれしいシステムが充実しています。ちなみに、通信制大学の出願期間は4月と10月の2回。出願期間が長く設定されている大学も多いので、調べてみれば今すぐ入学できる大学もまだあるかもしれませんよ。
誌面の関係で詳しく触れられないのが残念ですが、現在の大学・大学院は、ほぼ確実に個人のニーズに応えてくれるところまで進化しています。人間関係学、マンガやアニメなど新しい学問分野にも敏感ですし、子どもがいる学生のために託児所を開設する大学だってすでに少数派ではありません。興味がある人は、条件であきらめずにぜひ調べてみて下さい。まとめ欄には大学の情報が収集できるソースも掲載してみました。
(★印は通信制大学でも取得可能な資格)
(大学によって取得できる資格は異なります)
<医療・福祉系>
・資格取得が可能
介護福祉士、音楽療法士
・受験資格の取得が可能
社会福祉士★、精神保健福祉士★、言語聴覚士、理学療法士、作業療法士、はり師・きゅう師、医師、歯科医師、獣医師、薬剤師、看護師、臨床検査技師など
<教育系>
・資格取得が可能
各種教員免許(8種)★、保育士★、学芸員★、司書★、学校図書館司書教諭★
・受験資格の取得が可能
社会教育主事★
<法律・ビジネス系>
・資格取得が可能
MBA
・受験資格の取得が可能
司法試験、社会保険労務士★
・受験科目の免除
税理士★、弁理士、公認会計士★、不動産鑑定士★
<その他>
・資格取得が可能
測量士★、測量士補★、栄養士、食品衛生管理者
・受験資格の取得が可能
二級建築士★、管理栄養士、産業カウンセラー★
社会人のための大学案内
http://www.edunavi.net/d_shakai/index.html
社会入試の基礎知識や統計データなどがわかりやすく記載されている。ベーシックな知識はここで。
All About 社会人の大学・大学院
http://allabout.co.jp/study/adultedu/
教育ジャーナリストのガイドが指南。最新情報が多角的な切り口で網羅されている。
大学入学情報図書館RENA
http://www.rena.gr.jp/
社会人入試情報の老舗サイト。基礎知識、最新情報のほか、会員登録すると過去問題の閲覧なども可能。
阿部志穂
共通テーマ:学問・資格(旧テーマ)
社会人7年目にして通信制の大学の3年に編入し、来年卒業予定です。
産業カウンセラーの試験に向けて勉強しています。
いや~、思いっきり私のことのような気がして見入っちゃいました。
by zoo222 (2005-11-12 00:27)
コメントありがとうございます。
産業カウンセラー志望と言うことは
西東京市あたりの大学でしょうか(笑)?
zoo222さんのように育児期間を利用して
がっつり勉強する人って増えているみたいですね。
「復職できるかわからないから結婚、出産が怖い」
という人が多いですが、この手があるんだよなー
と最近とみに思います。
子どもが歩きはじめる前の1年間を学びの期間として
有効に使えば、復職だけじゃなく育休後の転身だって
可能になるかも知れないんですよね。
(つたい歩きをはじめたら勉強どころじゃなくなる
ような気がしますが…経験上(^^ゞ)
zoo222さんはほかにもいろんな資格試験に挑戦
しようとしていらっしゃるご様子。
なーんてパワフルなんでしょう。頭が下がります。
それらを使ってどんな人生を目指そうとなさって
いるのか、とても気になるところです。
さわりだけでも教えてもらえれば、このブログを
読んでいる方の参考にもなるかもしれません。
よろしければぜひ(^-^)。
by 阿部志穂 (2005-11-18 14:27)